ホームサーバー作ってみました

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最終更新日 2003年11月26日

ホームサーバーとは。

サーバーっていうと普通は企業とかにあるもんんですが(あ、これ書いたか)、要するに複数台のマシンがある環境での処理上の便宜を図るためにあるわけですね。家でパソコンを複数台使うっていうと真っ先に思いつくのはインターネット接続。でもこれは3,980円とかでブロードバンドルータを買ってくれば済むわけで。じゃぁサーバーを一体何に使うのかというと、メーカー製パソコンを例にするならば「テレビ録画」!これしかない!パソコンで録画予約をすると番組が始まる1分前とかにシュビビーンと電源が入ってきて、録画を終えると何事もなかったかのように電源を落として静かに眠るわけですよ。しかも市販のDVDレコーダやらHDDレコーダやらと違い拡張性があり、HDDをいくらでも安価に増設可能、録画の画質もフレキシブルに設定でき、バラエティは低画質に、洋画は高画質に・・・などと使い分けも自由自在。ホームサーバーとLAN接続されているコンピューターからいつでもアクセスでき(アクセス要求をかけると勝手に電源が入る)、好きなときに好きなだけ、しかも高速にCMも飛ばしまくりでテレビが見られるわけです。

…音楽に全然関係ない…いや、ないこともないです。MacやWindowsデスクトップ、ノートなどに分散して入っていた音ネタやMP3ファイルを集中管理することができ、HDD容量の無駄が省け検索の効率がアップします。元々こういう用途でホームサーバー作りたいなーと思っていたのですが、「どうせならTVも録画できるようにしてしまおう」とか「リモートで管理できると便利じゃのう」とか色々調べまくっているうちにパソコン好きの知的好奇心がムクムクと育ってしまったと。こういうわけです。

材料あつめ

「ファイル保存したい」「テレビ録画したい」「消費電力も小さいほうがいい」そんなWindows系ホームサーバーを作るうえで何が必要か考えてみました。パソコンを作るうえで必要なものは基本的には下記の通り。

●CPU

CPUは低消費電力の観点からC3シリーズに目が向きがちですが、動画のリアルタイムエンコーディングは浮動小数点演算の速度がものをいう(とパソコン工房のお兄さんが言ってた)ので、C3系は却下。CPUもファンレスだけに惜しいですが処理できなければ元も子もない。AthlonかCeleronだな。価格でいくとセレロンの2.4GHzがファン付きで8000円割れと激安だったのでこれを選択。

●メモリ

メモリは256MBあればまぁ動きますがどうせなら512MBくらいあったほうが良いかなと考える。というわけでデスクトップから256MB×2枚引っこ抜いてこれを使用。デスクトップにはPowerMacにささってる2GBのメモリのうち1.5GBを引っこ抜いてかわりに装着。PowerMacは512MBとスリムになってしまったが相性問題がひどかったしサンプラーも結局Windowsで使うので結果オーライ。

●ハードディスクドライブ

HDDは200G!!とか言いたいところですが金かけてられないので外付けに改造してた80GBのPowerMacに最初から入ってたHDDを使用・・・しようと思ったらクラッシュしたので(爆)急遽交換サービスに連絡し代品を送ってもらう。元々PowerMacについていたものなので無償交換ラッキー!!しかし日立IBMの安くてうるさいHDDが来た(ふざけんなアップル)のでこれを元々ファンがうるさいPowerMacに装着しMacにつけてたBarracudaATA7200.7を使用する。うるさいPowerMacにつけるとあら不思議、音がしなくなりました。ていうかPowerMacのファンがうるさくてHDDの動作音なんてかき消されちゃうわけで・・・。しかしBarracudaATA7200.7は静かだ…。

●グラフィックカード

高速な処理などまっっったく必要ないのでマザボに内蔵されているグラフィックチップで十分。今回はSiS650の内蔵グラフィックに32MBのメモリを与えて使用。

●TVチューナーカード

ハードウェアエンコーダーがついているとCPUが遅くともキレイな画像でMPEG2(DVDの録画形式です)録画できるのですが、今回はCPUが結構パワーあるし何よりMPEG2じゃなくてMPEG4で低画質録画をたくらんでいるので、安いソフトエンコーダーカードで十分です。付属ソフトの多さや中でもLAN経由でテレビ画像をリアルタイム配信できる「ドコデモTV」が付属していること、定評のあるフィリップスのチップを使っている(9bitだけど)という点からAOpenのVA1000MAXというカードを選択。近くに売ってないのでオークションで5,000円くらいで落札しました。

●光学ドライブ

滅茶苦茶安くなってきてるし大容量のバックアップができるといいな、ということでDVD書き込み可能ドライブを選択。DVD-Videoの互換性とか気にしないしフォーマットが速い、という点も考慮してDVD+RWドライブを購入。もう5,000円くらい出せば-RWも書き込みできるやつが買えますが必要ないし価格優先ということで。4倍速で+RWが書き込みできるLogitechのLDR-R44AKを12,000円で購入。(翌日に同じドライブを使用するRICOHのやつが9,980円で売られているのを目撃し死にそうになりましたが)

●マザーボード・LANボード・ケース・電源・キーボード・マウス

部屋にでかいパソコンがタダでさえ複数台あるのにこれ以上大きいのに増えられたくないというのと、キューブPC使ってみてぇぇぇという理由でキューブのベアボーンを購入してみました。IWillのXP4という電源+ケース+マザーボードのベアボーンを購入しました。普通に買うと2万円台中盤になるやつですがたまたま近くのショップで15,700円で売っているのを目撃。即購入しました。電源は200WのFlexATX仕様なのでファンの動作音も静か、省電力です。200Wもあれば十分だし・・・。キーボード・マウスはセットに入っていました。すごすぎ!LANは最近のマザボには100%くらいの確率で内蔵されているのでこれでOK。本当は3comのLANチップ使ってるやつのほうがCPU負荷小さくて実用的なんですけどね。

●ディスプレイ

サーバー機にディスプレイは不要です。なぜならVNCというソフトで外部からLAN経由でコントロールできるからです。リモートコントロールっていうとtelnetなどを想像しますがVNCを使うとデスクトップをリモートで表示し、あたかも「目の前にそのパソコンがある」ように操作できるのです。今回使用したのはUltr@VNCというソフトです。使ってみて真面目に驚きました。ちなみに今回のホームサーバー構築で初めて知りました(^^;ただ、OSのインストールから設定まではリモートではできないのでそのときだけ別のマシンのディスプレイを差し替えて使って、設定終了後切り離しました。

これで材料はすべて揃い、組み立ててWindows2000 Professionalをインストール、各種ソフトをインストールして動作させてみました。ところが…

思わぬ落とし穴

OS起動やテレビ閲覧は絶好調。Ultr@VNCでリモートでの操作もばっちりです。しかし、肝心の(って書くとアレですが)テレビ録画がうまくいかない。具体的にはAVI(WIndows Media 9)形式で録画する時にCPU負荷が100%になりっぱなしになってしまうのです。詳しく書くと”Windows Media Video 9 320*240picel 30fps + Windows Media Audio 9 44.1KHz 128kbps"での録画です。 いくらCeleronとはいえ2.4GHzで動作しているのにこれはおかしい。ホームサーバー組み立て前にAthlonXP2400+を搭載してるデスクトップ機にVA1000MAXをさして遊んでいたときは比べ物にならないくらい負荷が低かったはず。

さらに、TVチューナーカードに付属してきた「ドコデモTV」。これはサーバー側でリアルタイムエンコードした画像をLAN経由で他のパソコンに送信し、チャンネルを切り替えたりビットレートを操作しながらテレビを見れるという便利なソフトなのですが、このソフトを使って64kbpsでテレビを送信してサーバーのCPU負荷を見てみると…なんと80%以上の値を示しているじゃないですか。通常動画のエンコードはビットレートに比例して処理も多く必要になるものですが、たった64kbpsへの変換でこの負荷はどうかんがえてもおかしいのです。

しかしその晩、動画に詳しい(ていうかプロ)の人に現象について説明したところ「セレロンはアスロンに比べて処理によっては同クロックでもン十倍も速度が違うことがあるよ」と聞かされ、しかも「Athlonは思ったほど熱くない」という話も聞き、ホームサーバーをAthlonmベースに組み替える決心をしたのでした。よってオークションにてCPUとベアボーンケースはもっと活用してくれる人に売られていきました(爆)

どうせならデスクトップのCPUも変えてしまえ

で、新しいCPUとベアボーンキットを探してパソコンショップに繰り出すわけですが、どうせAthlonにするのだったらデスクトップで使っているAthlonをホームサーバーに流用して、デスクトップのAthlonをもっと速いものにしてしまおう!デスクトップのメモリもPC2100からPC2700になったことだし…ということで価格との兼ね合いもありAthlon2500+を購入。あんまり安くなかった(ファン付き1万円ちょっと)ですがそろそろホームサーバーをくみ上げちゃわないと音楽活動に支障をきたすので近所で買ってしまいました。通販最安値との差額1,000円くらいだし。

で、ケース。これは一発で決まりました。Shuttle社のSS40G!SiS740チップセットを搭載する最新とは言えない(Bartonコアに対応してない)モデルですが、この本体の冷却機構がすごいのです。ICEテクノロジーというらしいですが、つまりCPUファンがいらないんです。ケースファンだけでCPUも冷やしてしまうという画期的な冷却機構。水冷には負けますがCPUファンが無いというのは静音化にこれほど貢献することは無ってぐらい効果的なんです。しかもケースファンがCPU温度によって速度が変化するという優れものでよほどあっつくならない限り2100RPMという低回転で動いています。HDDが静かならこのファンの音しか聞こえないのですごく静かに動いてくれることになります。少なくとも僕の背後でほぼ一日中うごいてる除湿機のほうが数倍うるさいです(悲)。というわけでゲット。2万弱でキーボード・マウスがついてないですが、そんなものは家に腐るほどあるのでそれで代用することで決定。ていうかUltr@VNCが動いてたらキーボードもマウスもいらないですしね。

うちのホームサーバー
SS40G。アルミケースでオサレ

悪いのはCeleronじゃなかった

早速組み上げて速攻Windowsをインストール。動作させてみたところ…

遅いまま

なぜ!?なぜに!?うがぁ〜〜〜ッッ!!と叫びたいのを抑えつつ(ちょっと叫んだが)原因究明へ・・・まず現状はCPU負荷はちょびっと下がったけどドコデモPCで128kbps送信が限界。デスクトップ機で試してたときは1Mbpsでも余裕だったので絶対におかしい。「自信が確信に変わりました」とは誰の言葉だったかは忘れたがトライアンドエラー開始。Windows2000をインストール、付属CD-ROMでグラフィックス・オーディオ・LANのドライバをインストール。TVチューナーカードをインストール。録画ソフトのbitcast.tvをインストールするためにIEを6に、DirectX8.1aも導入。この時点でのチェックでは録画・ドコデモTVとも問題なく動作。ドコデモTVを使ってWMV8形式・596kbpsで配信をおこなってみたところサーバーのCPU負荷は40〜45%ぐらい。次にIE6にサービスパックを入れWindowsMediaPlayer9をインストール。この時点でも問題無く動作。WMV9・596kbpsで40〜46%程度のCPU負荷とほとんど変わらず。その後WndowsUpdateを全項目適用しても問題なし。さっきとの相違点は…

DirectX 9.0b

おまえか、犯人は!!そういえばデスクトップはDirectX9だけど9.0aだし、話によると9.0bではデフォルトで動画エンコードが2-passになってるってうわさを教えてもらったし。今からDirectX9.0bを入れてトドメのチェックをできなくもないですが環境復旧するの面倒なのでやめます。というわけで多分犯人はこいつということで。bitcast.tvやドコデモTVを使ってこれからホームサーバーを組み立てようという皆さんお気をつけ下さい。(対象せまっ)

でもってレビュー

さて。無事完成したところでレビューをしてみたいと思います。使用CPUはAthlonXP2400+。前のコアなので1.65V動作しており結構熱い部類に入るのですが問題なく冷やされてます。CPU温度が48℃を超えるとケースファンにターボがかかるように設定していますが、今のところどんだけ負荷をかけても(少なくとも2〜3日動画エンコードやら録画やらしっぱなしにしてるぐらいでは)低速でまわってます。夏になったらうるさくなるんだろうな〜。処理速度はさすがに昨日までメインマシンで使っていたCPUだけあって速いです。HDDはウチで最速のものをつんでいるので静か+高速。メモリはPC2100のDDRですが不便は感じません。DVD+RWはまだ書き込みは試していませんがトレイはゆっくり開閉し動作も静かなのでお気に入りです。DVD+RWは付属ソフトが豊富でラク〜だ!バックアップというソフトが入っていたのでこれを試したくて買ったのでした。まだ使ってませんがバックアップに重宝することでしょう。

TVの画質についてはアンテナ線からの入力が小さいのでノイズは結構乗ってしまはず・・・しかし本体付属のノイズリダクション機構が働いているのか十分実用的な画質で録画・再生してくれます。しかし音質が悪い。マザボ付属のオーディオカードが悪いのもありますが、CMに入ったときに妙な耐え難い高周波が音声に乗ってきます。これは原因を色々と調べてみようと思います。

ケースは5インチベイが1つ、3.5インチベイが2つあるので、今の80GBのHDDのほかにもう1つHDDを内蔵することができます。その点もあって安心して選べました。メモリスロットも2つあり、低容量のメモリを複数積んで使うこともできます。ケース内はケーブルの取り回しまで緻密に設計されており、高い冷却効率を実現していると思います。唯一のファンであるケースファンが少し高周波がかった音がするのが残念ですが、低速動作時には気にならないので良しとしましょう。

というわけで今日もこのホームサーバーで音声データの管理、見たいテレビの録画をして楽しんでいるのでした。付属ソフトで毎週予約とかできるのでこれからは爆笑オンエアバトルを見逃さずにすみそうです(笑)←結局これが目的だったりして…

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